穏やかな文化の日、皆さんいかがお過ごしでしょうか。最近、憲法で保障されている「最低限の健康で文化的な生活」が営めていない酒井黒男です(今年お休みは1日だけ)。東海学園病を紹介してより、全国のビリヤードファンから様々なお便りをいただきました。そのなかから1つをご紹介いたしましょう。徳島県すったら村大字小字あざだらけ、匿名げーはーさんからのお便りです。
「こんにちは。私は愛知県は日進市でビリヤード場の店長をしているものです。私の店にも多くの学園病患者さんがいらっしゃるのですが、今まで出会った中で一番重症だったのは、現在、春日井市でビリヤード場をしているS井という人で・・・」
えー、では前回のつづきをどうぞ。
前回までのあらすじ
後にWHOに難病指定されることとなる後天性黄帯球不全症候群(東海学園病)を発症したOくむら君。彼を研究した須田教授は東海学園ビリヤードサークル内に同じ症状を持つ後輩たちが増えていることに気づく。やがて須田教授は東海学園病は感染するのではないかという疑念を抱き始める。
「学園の病2」 キャリアからの感染を防げ!(副題「ねらわれた学園」)
学園病の感染という新たなテーマにより須田先生の研究対象はOくむら君からその後輩たちへと移行していった。
その中でも須田先生の目を引いたのはS柳君だった。S柳君は当初、先輩であるOくむら君とペアで学校対抗選手権に出場し二戦二勝をあげるなどの勇姿を見せていたが、ペアである先輩がALLたこ負けで予選落ちした。そうしているうち自分自身も学園病を発症し、公式戦では二連続負け負け、ハウストーナメントでも四戦全敗、最後のY沢さんとの試合ではたこリーチをかけながらEASY GAME BALLをことごとくはずして逆転負けを食らうまでになっていた。
そしてS柳君は自信を回復するべく、ビリヤード歴4年で新人戦に出場するという暴挙に出た。試合会場では新人選手たちの中において、プレーキューはカスタム、ブレークキューはプレデター、キューケースはフラワーケースと道具は抜き出ていた。
試合出場前「予選落ちなんてありえないですよ。予選落ちしたらボーズっすよ、ボーズ!」などと勢い言ってしまった彼は昼飯時には新人戦を終了し、そのあしで家電屋にて家庭用バリカン「スキカル」を購入し、名古屋市天白区内某所での断髪式に向かったという。
こうしてプレーのみならず症状が頭髪にまで及ぶにいたり、須田先生は「学園病は感染症である」との確信を得たのでした。
その後、WHOによる学園病難病指定により多くの研究者が、ウィルスの特定とワクチン精製に力を注ぎましたが、成果を得ておりません。現在では心療内科よる研究が有力視されていますが、フラシーボ効果からの治療が成功していないこと、感染理由がユング派による立証でしか得られないことなどから悲観視する学者も少なくありません。また近年「学園病はプリオン異状によるクロイツフェルト・ヤコブ病の亜種である」との学説が発表され成果が期待されておりますが、研究結果が出るのにはまだ時間がかかりそうです。
最後にWHO発表による安全対策マニュアルより抜粋して終わりの言葉に変えさせていただきます。
後天性黄帯球不全症候群(東海学園病)安全対策序説より抜粋
「われわれ人類は今、新たなる危機に直面している。それでもわれわれは球を撞かねばならない。かつて、われわれの先人たちがそうしたように。今また人類の英知と勇気をもってこれを乗り切ろうではないか。ゲームボールをねらうときひょっとしたら厚いかもという悪魔のささやきが聞こえようとも」
同白書よりマニュアルの要旨
東海学園病感染者に接するときはそのプレーを見ないようにするのが望ましい。またその患者の発する断末魔、ショウガにも注意が必要である。特に「ウワー」「ひえー」「なんでー」などの叫び声はドップラー効果とともに周囲に著しい悪影響をもたらすことが報告されている。また、初期症状においては9番のみを用いた練習が有効であるとの報告もある。いずれにせよ今後の研究に期待するところが大きく、対策も随時変化、対応していく必要がある。